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June 08, 2005

老人と少年達の夏

『夏の庭―The Friends』湯本香樹実 著。
この本を読むと、心が温かくなると同時に、後悔の念にさいなまれる。

老人と3人の少年の、短い夏の物語だ。
児童文学になるのだろうが、大人が読んでも十分楽しめる。
むしろ大人になってから読んだ方が、味わい深い物語として
心に残るかもしれない。
私は社会人になってからこの本を手に取ったけれど、
子供には子供の見方があるから、どちらも楽しめていたら最高だったろうな。
そしてまだチャンスがある内に気づいていたら良かったのにな。

本屋で帯を読んだ時は、一瞬えっ!?と思った。
「人が死ぬ瞬間を見てみたい」そんな文章があったからだ。
少年達が人の“死”に興味を持ったことから物語は始まる。
まだ死が遠いところにある子供らしい発想。
ターゲットにされた老人とのやり取りが、たまらなく面白く、優しい。
祖父や祖母との思い出が蘇る。
親とは違う温かさを感じた、あの眼差しや、柔らかな手を思い出す。
本の中の少年達と老人の間は、友情に近いもので結ばれているように思うけれど、
子供を包む温かさは変わらない。
そして老人の孤独と、心の傷。
境遇こそ違うけれど、きっとそれは自分の祖父も持っていたに違いないのに。
そう思うと後悔で胸が痛む。
もう亡くなってしまった祖父と話す事はできないけれど、
この物語を通じて、知らなかった祖父の一面に触れられたような気がする。
後悔は変わらない。
でも物語の老人の姿には、救われる思いがする。
どうぞ安らかに、天国で祖母と幸せに、と思う。
自分にはもう涙を流す事しか出来ないけれど、
子供達がこの本を読んで大切な事に気づいてくれたらと思う。
そして大人達も。

夏の雨のように心に潤いと、爽やかさを吹き込んでくれる一冊です。
老若男女問わず、是非読んで欲しいです。

投稿者 melissa : June 8, 2005 02:21 PM


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