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July 29, 2006

ゲド戦記 カウントダウン!

ジブリの新作、『ゲド戦記』のカウントダウン上映に行ってきました!
チケットを取るのに40分かかったんですが、頑張った甲斐はありました。
24:00からだっていうのに満席。さすがジブリだわ。
舞台挨拶のある映画は始めてだったんですが、結構面白いものですね。
アレン役の岡田君のNo.1映画は『カリオストロの城』なんだそうですが、それを超えたと言ったそうです。
言った後で、こんなこと言ったら駿監督に悪いですね、と言ってたみたいですけど(笑)
彼が最初に観た観客だそうで、自分が出てるのを忘れるくらい「すげー」と思ったとか。
ほっほう、期待が高まるジャン。
そんなトークを30分くらいして、最後に来場者プレゼントがありました。
なんと一緒に行った友人が監督サイン付きの品をゲット!!
おぉぉ、50分の1の確率の品を~。
最近お疲れ気味の彼女へのプレゼントかな。やったね☆

そして感想はと言えば、期待を裏切らずに面白かったと思います。
宮崎駿監督が「素直な作り方でよかった」と仰ったそうですが、なるほどと思える出来栄えでした。
声優はアレン役の岡田准一はどうなんだろうと興味津々だったんですが、役に合っていて良かったと思います。
手嶌葵も良かったし。
あとクモ役の田中裕子はお見事でしたね。
ただ、正直、見終わった瞬間は満足度10としたら8割だなって思いました。
でもシーンを回想する度に段々膨れ上がってきて、今じゃ10みっしり。
多分、自分は今後この作品を凄く好きになっていくんじゃないかと思います。
今、凄くワクワクしてます。もう一度観に行くのが楽しみで。
余韻に浸れる映画というか、観終わった後からの方が深みが増していってます。

映像は画面に広がりがあって、世界に引き込まれました。
色合いが良かった。
あの世界に漂う影の部分が良く描かれているなと思う。
上手く言えないんだけど、私には西洋のキリスト教が入り込む以前の古い世界に対する憧憬、みたいなものがあって、多分それはこういうイメージだっていうのが目の前で展開されていくように思って見てました。
ゲド戦記の舞台は架空の世界ですが、やはりベースにはそういう古い魔法や占いが信じられていた時代の西洋的なものを感じるわけで、自分の中にある世界を裏切られなくて安心するような、どこか懐かしいような、そういう気持ちでした。
抜けるような明るい景色ではなく、どこかに不安感が漂っているような、そんな世界。
そして映画では、目に見えないものに対する畏怖の念がある一方で、そういうものが崩れていこううとしている。
主役のアレンはその不自然さを感じながらも、自らも影にとらわれて怯え、逃げた。
彼には生きるということの実感が薄かったのだと思う。
そして人は一人で生きているんじゃないという実感も無かった。
何不自由なく生きて、それなりに幸せで、でも何故かもの哀しい気持ちが訪れる時がある。
テルーの歌声を聴いて涙する彼の気持ちが良くわかった。
あの歌詞が出てきた吾郎監督はやっぱり只者では無いと思う。
でも結局、逃げたって何にもならないんですよね。
光があれば闇が生まれ、人は昼と夜の両方の世界に生きているのであって、そのどちらかだけで生きていくことは出来ないのだから。
しかしそれを理解するには、自分が生きている、という実感が無ければ無理なこと。
掌に出来たマメを見つめるアレンの姿が印象的だった。
命を大事にする、というのは同時に失われていく哀しさを知ることだし、そしてその哀しさを受け入れることでもある。逃げたって、どこにもいけない。
そんなメッセージが画から、音楽から、台詞から、静かに強く伝わってきた。
少しもの足りないくらいにシンプルな線で描かれた世界は、静かだけれども強い。
そこに監督の素直さと、強さを感じた。
おそらくアレンは監督自身でもあるんでしょう。

今回の映画は宮崎駿の息子が撮った、というフィルターを外して見るのは難しくて、どうしても比べてしまうのですが、反発するでなく、宮崎駿の世界を受け入れながら自分の芯は通してるなって感じがしました。
エンドロールで原案「シュナの旅」って書かれているのを見て、あーっと思った。
あれがベースにあるのね。見たことあるシーンがあるなと思ったのは間違いじゃなかったわ。
演出的には駿監督と比べたら、まだ未熟なところは一杯あると思う。
飛翔感にはもの足りなさを感じたし、全体を通しての緩急のつけ方とか、終りが弱い感じがするところとか。
意味が分かりにくかったりとかね。
テルーと竜の関係も良くわかんなかったし。
それでもアレンが己の均衡を取り戻し、クモと、自分自身と対峙した時に見せた眼差しは、見事だなと思いました。

あと音楽が良かったです。
世界観やキャラクターの心情を良く表していて、映画に立体感が出てました。
それにバグパイプの音が聞こえたときは、なんだか良くわからないけど、あぁこれだって思った。
何が「これ」なのか、自分でも説明できないんですけどね。
大地の音というか、その土地に湧き上がってくるような音を感じました。
例えば太鼓の音とか、アイリッシュミュージックを聴くときに感じるものと一緒かなぁ。
ただの音楽じゃなくて、そこに何か含まれているような…。

それから魔法で鍛えられた剣が抜ける時の、鍔が鞘から離れるその瞬間の音。
あれは凄かった。
あの音を聞いた瞬間、誇張でもなんでもなく、自分の心臓が大きく脈打って音がするのが分かりました。
ほんと、漫画みたいに。
魔法の剣が抜ける時の音はかくあるべき、っていうまさしくその音+αだったんですよね。
この映画で一番好きなシーン、印象に残ったシーンはどこかと聞かれたら、迷わずそこです。
もっともこんな風に思うのは自分くらいだと思うし、印象的なシーンではあるけれども他の人はそんなに凄いと思わないと思う。
オタクだなぁ…。

真の名とは?大賢人て?竜ってどういう存在なの?などなど、原作を読んでなければ分からない設定についての説明がかなり省かれているので、そいういうところに囚われてしまうと楽しめないと思います。
そういう説明に時間を割いてしまうと、あの短い時間では本当に伝えたいメッセージが届かなくなるから省いたんでしょうけど。
大体、ロード・オブ・ザ・リングだって三部に分けてなお説明不足だもんね。
それを抜粋とはいえ一本でまとめようと言うんだから大変だわ。
自分は大好きな漫画家が世界三大ファンタジーの影響を受けている人なので、原作読んでなくてもその辺りの意味は大体分かったけど、まったくそういうのが何もない人が見たらどうなんだろうか。
人によってはほんとに面白くないんじゃないかしら。
観に行くにあたり、これは知っておいた方が良いんじゃないかと思うところが一つ。
「真の名」とは何か。
すべてのものには通り名の他に「真の名」があり、人は思春期の頃に「真の名」を探り出した魔法使いや呪い師からその名を授けられます。
その名前は本来、本人と名を授けた者しか知りません。
なぜなら、真の名とはその人そのものを表す言葉であり、その名前を知られるということは、相手に支配され、最悪の場合、命を奪われてしまう危険があるからです。
逆に言うと、真の名を教えるっていうのは凄いことなんだよね。
かなり大雑把な説明だけど、これを知ってるか知ってないかで結構見方が変わるかも。

でも原作を読む前に観て良かったかな。
実際映画では原作の話がミックスされて設定が変わっているところがかなりあるみたいだし、そういうこだわりなく観れたから。
原作を読み終わってから観たら、どんな風に観えるんだろう。
楽しみでもあり、不安でもあり…。
まーでもどっちにしてもこれはこれで良いんじゃないかしら。
私は好き。
監督のこれからに期待です。

投稿者 melissa : July 29, 2006 08:20 AM


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トラックバック時刻: August 1, 2006 03:50 AM

コメント

さすが、melissaさん。
全体的に説明不足が否めない点がたくさんあったので、私は若干物足りなさを感じたんだよねー。もっとしっかり描いてよ!って。
でも、なんか、この物足りなさ、不安定さが主人公アレンにぴったりな気もしてきたり。

不満な点も多々あるんだけど、妙に憎めない、そんな映画でした。

投稿者 のっく : August 1, 2006 01:21 AM

あら、ようこそいらっしゃいまし~(^^)
コメント嬉しいな~♪

>でも、なんか、この物足りなさ、不安定さが主人公アレンにぴったりな気もしてきたり。

そうそう、同感!
私も説明不足は否めないと思うわ。
その他諸々足りないぞってところもいっぱいあった。
原作知ってる人的には、こんなんじゃないー!って感じなんだろうし。
ただそこすっ飛ばして、この映画の中で監督の言いたかったことはこれだろうなって所は分かったのと、迷って悩んで逃げて受け入れてっていうアレンの描き方が良かったわ。(原作的にはどうかしらんけど、アレンの不安定さに自分が重なる…。)
全体的に笑いの部分が少なくて、硬い感じがするのもこの世界には合ってるのかなと。
未熟でありながらも真摯な姿勢と決意で臨んでいる監督の姿が映画全体に漂ってる気がするよ。
映画の出来だけみるとやっぱり8割なんだけど、残り2割はそこかな。

投稿者 melissa : August 1, 2006 03:05 AM

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